スリーエムはアメリカのミネソタ州に本拠地を置く、世界的な化学・電気素材メーカーです。その増配年数は60年を超えており、配当好きの投資家にとってはよく知られている会社です。
ただ、近年は売上が前年同期比マイナスとなり、業績に対する懸念から、株価は低調に推移してきました。過去最高値は259.77ドルですが、2020年11月時点の株価は170ドルほどです。ダウ平均株価が史上初の30,000ドルを記録し、S&P500も過去最高値を記録しましたが、スリーエムの株価は置いてけぼりとなっています。
2021年は増収増益を見込んでいる
スリーエムは、2019年と2020年第2四半期に前年同期比でマイナスの収益成長を経験しました。しかし、2020年第3四半期にはプラス成長となり、少し明るい兆しがあります。また2021年はプラスの収益成長が見込まれている。収益が好転するなら、S&P 500を下回っている今の株価は上昇する可能性がありそうです。
またスリーエムは、62年連続で配当金を増加させてきた素晴らしい実績を持つ堅実な配当銘柄です。この実績は強力なキャッシュフローの結果であり、継続される可能性が高いと思います。スリーエムは株主への配当金支払いを最優先事項の一つとしており、60年を超える実績があるからこそ、今後も配当金支払いを重視するでしょう。
成長分野やM&Aなども実施
スリーエムの主な戦略の一つは、有機的な投資です。これは、成長するために現在の事業に投資することです。例えば2020年には、COVID-19に対抗するためのフェイスマスクと呼吸器の生産量を増やすことでした。また、スリーエムは空気清浄機事業や自動車の電動化、バイオ医薬品のろ過などの分野で需要があり、強化をしています。
もう一つの重要な成長ドライバーはM&Aです。2020年はM&Aが行われていませんが、最後の買収は2019年第4四半期に完了しており、Acelityという創傷ケアと特殊手術アプリケーションの会社でした。これはスリーエムのメディカルソリューション事業を強化しました。
2021年の売上高と収益について
COVID-19の影響に関する不確実性があるため、来年の成長を予測することは難しいかもしれません。それでも、アナリストは2021年のスリーエムの収益は5.5%の成長、利益は9.8%の成長と予測しています。これらの予測は、状況の変化によって上下する可能性があります。しかし、3Mは2020年も好調に推移しており、2021年の予想に対しても期待できると考えています。
配当金は好調で今後も増配を期待したい
スリーエムは高成長企業ではありません。どちらかというと平均程の成長をしていく会社です。そして、現在は配当成長企業です。2020年11月の配当利回りはで3.4%程です。2020年には4%程まで配当利回りが上昇したこともありました。
スリーエムは配当にこだわり、62年連続で増配をしています。
それを実現できたのは、キャッシュフローを時間をかけて成長させてきたためです。総収入の約17.5%をフリーキャッシュフローとして生み出しています。直近12ヶ月間の3Mのフリーキャッシュフローは55億ドルでした。これは、3Mが配当金の支払いや自社株買いに使用する資金になっています。プラスのフリーキャッシュフローを生み出す能力を持っているため、長期的に配当金を増やすことができます。
同社はCOVID-19の状況を受けて、自社株買いプログラムを停止しました。自社株買いに使う予定だった資金はパンデミック関連の問題に当てることができます。そして、COVID-19の脅威が終われば、同社は自社株買いにシフトすることができでしょう。
私達は、スリーエムが収益とキャッシュフローを成長させ続けることで、毎年の配当金の増加を期待することができます。それだけでも、スリーエムが投資先として魅力的であることには変わりないでしょう。
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